待望の提携、ついに実現。「Wix × モリサワ」が開く日本語デザインの新時代
- 平川 亮二
- 4月22日
- 読了時間: 4分

2025年4月、ウェブ制作の世界において待望のニュースが届きました。Wixとモリサワによる正式な提携が発表され、日本語フォントのプロフェッショナルとして名高いモリサワ書体が、ついにWixでも利用できるようになったのです。
これは、単なる機能追加にとどまらない、大きな転換点です。Wixユーザー、とりわけ日本国内のクリエイターにとって、これは「悲願」とも言えるアップデートでした。
「日本語Webフォント問題」と向き合ってきた年月
Wixは2006年のサービス開始以降、ノーコードで美しいWebサイトが作れるプラットフォームとして、世界中で急速に支持を集めてきました。しかし、日本語対応という観点では、ずっと課題を抱えていたのも事実です。
サービス初期に用意されていた日本語フォントは以下の5書体のみ。
MSゴシック
MS明朝
MS Pゴシック
MS P明朝
メイリオ
これらはOS標準のシステムフォントであり、Webデザインとしての表現力は限られていました。ビジュアルにこだわる日本のデザイナーたちにとって、フォントの選択肢が極端に少ないという状況は、長らく足かせとなっていたのです。
第一の希望:フォントワークスの13書体追加
風向きが変わったのは数年前。WixにフォントワークスのWebフォント13書体が追加されたことで、ようやく日本語タイポグラフィの表現が広がりました。
UD明朝、マティス、筑紫Aオールド明朝などの明朝系
ロダン、スキップ、ニューセザンヌなどのゴシック系
クックハンド、筑紫A丸ゴシック、筑紫B丸ゴシックといった個性派
これにより、Wix上でも商業デザインに耐えうる表現が可能になり、多くのWixクリエイターたちが喜びました。しかし、それでもモリサワフォントへの期待は根強く残っていました。
提携に至るまでの裏側——
イスラエルと日本をつないだ小さな出会い
私自身、2017年にWixアンバサダーを務めていた際、イスラエル本社のWix.comとモリサワ社の担当者を引き合わせる機会がありました。
当時から「Wixでモリサワを使いたい」という声は多く、私もその実現を心から願っていました。しかし、Webフォント配信の仕組みや言語処理、契約体系など、両者のシステム的な違いは大きく、交渉はそう簡単には進みませんでした。
何度もやりとりを重ねる中で時間だけが過ぎていき、「もう難しいかもしれない」と感じたこともあります。それでも、2019年にWixJapanが設立され、その思いをWixJapanのスタッフがユーザーの思いを引き継ぎ、このたびようやく提携が形になったのです。
モリサワの書体が持つ力
モリサワフォントの魅力は、ただ「美しい」だけではありません。それは、日本語ならではの情報伝達力とデザイン性を両立した、確かな“機能美”です。
可読性と視認性に優れた文字設計、多様な業種・ブランドイメージにフィットする豊かな書風、そして日本人にとって長年親しみのある“書体文化”としての存在感。モリサワの書体は、読みやすさだけでなく、デザインに品格と物語を添えてくれます。
これまで、Canvaや一部のノーコードツール「Studio」などでは、すでにモリサワフォントの一部が使える環境が整っていました。そこにようやく、Wixでも正式に対応。日本語フォントとして、ようやく肩を並べた感があります。
Wixを使って飲食店のホームページを立ち上げる個人事業主も、企業の広報を担当するスタッフも。モリサワフォントを選ぶことで、文字そのものに“説得力”が宿り、誰でも「伝わる」デザインを実現できます。
これからのWix、日本にフィットした未来へ
今回の提携は、Wixが「本気で日本市場と向き合っている」ことの象徴でもあります。
海外製のサービスでありながら、日本語という複雑な言語表現に本格的に対応し始めたWix。この流れがさらに加速すれば、業種・用途・企業規模を問わず、日本国内におけるWixの活用シーンは飛躍的に広がるでしょう。
個人的にも、ずっと願ってきた提携がようやく現実になったことに、深い感慨を覚えています。7年越しの思いが報われたような感覚です。
終わりに:フォントは「声」そのもの
ウェブサイトにおけるフォントは、文字でありながら、まるで“話し方”のような存在です。伝えるトーン、雰囲気、温度感を決める大事な要素。
今回のWixとモリサワの提携により、日本語Webサイトにおける「声」はより多彩に、より繊細に表現できるようになりました。
この変化を、ぜひあなたのウェブ制作にも取り入れてみてください。
参考サイト
【PR Times】
【Wixヘルプセンター】 https://wixerdesign.hopp.to/morisawa-font